「dispiacere」の初めの一歩として「Mi dispiace(ごめんなさい)」を学ぶと思います。
しかし勉強していくうちに「dispiacere」ってなんぞや?という疑問が湧き、辞書で調べても出てくる意味が違いすぎて初めは全く理解ができませんでした。
そんな方に本来の意味や使い方をわかりやすく説明します!
(謝り方については「Mi dispiaceとScusaの違い【イタリア語で謝る】」を参考にしてください。)
dispiacereの主な2つの意味
dispiacereには「残念である」と「不快である」の2つの意味があります。
この2つ、日本語で考えると全く違う意味だし、状況によっては反対の意味になってしまうため、日本人にとってよりこんがらがるんですよね。
相手がどういう意味で言ったのか、その状況で判断しないといけません。そのためにはまず本当の意味を理解しましょう!
「残念である」
謝るときの「ごめんなさい」
謝るときのMi dispiace(ごめんなさい)は、こちらの意味になります。
もっと掘り下げると、「遺憾である」「心が痛む」という意味があります。
つまりこの場合のMi dispiaceを直訳すると「私にとって心が痛みます」→「本当にごめんなさい」ということになります。
「Mi dispiace」の文法解説
mi…私にとって
dispiace…残念である→三人称単数なので主語はその現状・行為になります。
「私にとって(それは)心が痛みます」
同情するときの「残念だったね」
「遺憾である」「心が痛む」ということは、つまり「私にとっても残念よ」と同情としても使えます。
しかしこれは注意が必要で、「他にかける言葉が見つからない」という状況で使う場合が多いため、安易に使うと「興味がない」という風にとらえられてしまいます。
例えば
昨日、包丁で指切っちゃって…
Ah… Mi dispiace(あぁ、残念だったね)
ちょ、冷たくない!?
と、なりかねますw
親しい間柄ならわざと「Mi dispiace」と言ってジョークにすることはありますよ!
「他にかける言葉が見つからない」という状況で使えるので、私がスーツケースを盗まれてしまったときにみんなから「Mi dispiace」と言われました。
悲しい気持ちを表す「残念だ」
例:Mi dispiace tanto che tu non possa venire.
きみが来られなくて(私にとって)とても残念だ。
※cheのあとは接続法になるのでpossa(接続法現在単数)
“Mi”を変えれば“誰が”残念がっているか言えます。
Gli dispiace che tu non possa venire.
彼はきみが来られないことを残念がっているよ。
A tutti dispiace che tu non possa venire.
みんなきみが来られないことを残念がっているよ。
間接目的語代名詞一覧
mi 私に
ti 君に
gil/le/Le 彼に/彼女に/あなたに
ci 私たちに
vi 君たちに(あなたたちに)
gli 彼らに/彼女たちに
「不快である」
おそらくこれが日本人は混乱してしまうんですよね~。
不快の否定「悪くない」として使われる
例:Questo film non mi dispiace.
(直訳)この映画は不快ではない。
→この映画は悪くない
このように否定文にして使われることが多く、肯定文は使われません。
Questo film mi dispiace…これは通じません!
☆「嫌いである」と言いたい場合は、“Questo film non mi piace.”のようにmi piace(好き)の否定を使うのが一般的です。
☆「不快である」など強い表現を使いたい場合は、“Questo film fa schifo.”(schifo=不快/嫌悪感)を使います。
許可をとる「不快じゃないですか?」
例:Ti dispiace se fumo?
(直訳)私がタバコ吸うのはきみにとって不快ですか?→タバコ吸っても大丈夫?
例:Ti dispiace?
それだと(きみにとって)困りますか?
例:Ti dispiace leggere questo?
(直訳)これを読むのはきみにとって不快?→これを読んでくれる?
この場合、「不快じゃないですか?」と聞いているので、答え方は
Sì→「はい、不快です」
No→「いいえ、不快じゃないです」
になるので答え方に注意しましょう!
Ti dispiace se fumo?(タバコ吸ったら不快ですか?)
No, no. Puoi fumare!(いやいや。吸っていいですよ!)
しかし…実際はこの質問に「Sì」とは答えません。
日本語でも「タバコ吸ったら迷惑ですか?」と聞かれて「はい、迷惑です」なんて言わないですよねw
Scusa. Sono incinta.(ごめんなさい。妊娠してるの)
「不快に思う」は怒りよりも悲しみと考えよう
「dispiacere」には「不快」という意味がありますが、「自分にとって不快だ」という意味で考えないほうがいいかもしれません。
【問題】あなたならこれをどう訳しますか?
“Mi dispiace che tu mi abbia detto che sono uno stupido.”
※tu mi abbia detto che sono uno stupido(君は僕にバカと言った)
「不快に思う」を使って日本語訳すると、「君は僕にバカと言ったから、不快に思う」は怒ったような言い方になります。
しかし実は怒っているニュアンスではなく、「残念に思う→悲しい」というニュアンスになります。
【正解】
Mi dispiace che tu mi abbia detto che sono uno stupido.
君は僕にバカと言ったから悲しいよ…。
意味が違うように見えて、実は本質は同じ
「残念です」「心が痛む」「ごめんなさい」「不快だ」「悲しい」「嫌いじゃない」
全部、まったく意味が違くない!?!?と思いますよね。私も初めはそう思いました。
しかし現地でイタリア語を学んでいくうちに、本質は同じことに気づいたんです。
(すでに本質に気づいた方は、かなりの読書家または日本語が得意と見受けましたぞ!)
もうひとつ問題!
【問題】これを日本語訳するなら①と②どちらが近いですか?
Mi dispiace sentire qualcuno che piange.
①誰かが泣いているのを聞くのは不快に感じる。
②誰かが泣いているのを聞くのは残念に思う。
①だと「不快=嫌悪感がある=迷惑」つまり「これを言った人は迷惑に思っている」という印象を受ける人が多いと思います。
②だと「あぁ、誰かが泣いている。かわいそう」という印象ではないでしょうか。
この解釈なら②が近い(正解)です。
しかし「不快」って「いやな気持ちになる」という意味なので、悲しみも怒りも「いやな気持ち」に変わりないんですよね。
つまり「不快=怒り」ではないということ。
イタリア語の「dispiacere」は様々なマイナスの状況で使われるということを理解することが大事。
「残念です」「心が痛む」「ごめんなさい」「不快ですか?」「悲しい」「嫌い(じゃない)」これらは全て、「不快」の傘下になりマイナスのときに使われる表現なので、本質は同じなんです。
まとめ
dispiacereを日本人が理解しようとしたらかなりややこしい言葉です。
直訳はできず色々な言葉に置き換えられるため、「どんな意味で言ったんだろう…」と考えることが多いと思います。
「まだイマイチ理解できない」という人はとりあえず
- ごめんなさい
- 同情するよ
- 悲しい
- ~してもいいですか?
を頭に入れておいて、状況で判断することになりますが、だんだんとdispiacereの本質に気づいてくるはずです!
\イタリア語の勉強/
コメント
ネギさん、イタリア語の話ありがとう。
実際に使っての言語についてのニュアンスが伝わってきました。
説明するのも難しく、ちゃんと読者に伝わるか不安でしたがそう言ってもらえると嬉しいです(^^)