イタリア語初心者がちょっとつまづきやすい、ちょっと考えてしまう動詞として「持っていく」「持ってくる」があります。
そもそもこれ日本語が少しややこしいから、日本語から考えるとハテナになっちゃうんですよね。
※状況によっては他の動詞を使いますが、今回はportareとprendereについてより深く考えてみましょう。
次の問題を解いてみて、自分がちゃんと理解できているか試してみよう!
【問題】を解いてみよう
日本語をイタリア語にしてみましょう!
①君はそのワインを持っていくの?
シチュエーション:
母が友達の家に食事に行くということなので、準備をしているのを見ていたらワインをカバンの中に入れていました。
そこで私は「ワイン持っていくの?」と聞きました。
イタリア語でなんと言いますか?
②私は(ひとつの)ワインを持ってきました。
シチュエーション:
友達の家に食事を招かれました。
友達の家について「ワインを持ってきたよ」と言いました。
これはイタリア語でなんと言いますか?近過去を使って考えてみましょう。
③君はそのワインを持ってきてくれる?
シチュエーション:
ワインセラーにあるワインが必要ですが、私は忙しくて手が離せません。
自分では取りに行けないので「ワイン持ってきてくれる?」と相手に頼みました。
これはイタリア語でなんと言いますか?
④君はそのワインを持ったかい?
シチュエーション:
母が友達の家にお呼ばれしたので、このワインを持っていっていいよと事前に伝えていました。
母がでかける際に「ワインは持った?」と確認しました。
これはイタリア語でなんといいますか?近過去を使って考えてみましょう。
解けましたか?
答え合わせをしてみましょう!
【解答】
①君はそのワインを持っていくの?
Porti il vino?
「持っていく」なので「運ぶ」になり、portareになります。
Vai a portare il vino? だと「運びに行く」になり、まるで「運ぶ」が目的となっている言い方になるため、「ワインを運びに友達の家に行く」というニュアンスになってしまいます。
ちなみに、ここでprendereを使うと
Prendi il vino. ワインを取ります。
なので「持っていく」の前の動作になります。
ワインを手に取って(prendere)、それを持っていく(portare)という順番になりますね。
②私は(ひとつの)ワインを持ってきました。
Ho portato un vino. (もしくはuna bottiglia di vino)
これも「持ってきた」なので「運んだ」になります。
お友達の家にお邪魔するときなど「ワイン持ってきたよー」と使えます。
ワンランク上を目指すなら、「直接目的語代名詞」を使いましょう!
Ti ho portato un vino. 君にワインを持ってきたよ。
Vi ho portato un vino. 君たちにワインを持ってきたよ。
Ho portato…だけだと、誰のために持ってきたのか不明確になります。
もしかしたら自分自身のために持ってきた可能性も残るので、プレゼント・手土産をはっきりさせるならTiやViをつけましょう。
un vinoとuna bottiglia di vinoの違い
これはどちらも「ワインボトル一本」という意味になります。
一杯はun bicchiere di vinoになるので、レストランで注文する際は注意です。
グラスワインを頼むつもりでun vinoと言うとワインボトルが来てしまいます。
ここまで大丈夫ですか?
次がちょっとひっかけでした。
③君はそのワインを持ってきてくれる?
これ実は、状況によってportareもprendereもどちらも使えます。
A地点からB地点まで「運んできてくれる?」という意味なら
Puoi portare il vino?
「取ってきてくれる?」という意味なら
Puoi prendere il vino? ワインを取ってくれる?
「取ってくれる?」というようにPuoi prendere…の場合は、近くにあるものを指して言えます。(視界に入る範囲など)
「取りに行ってくれる?」のように距離があると感じる場所の場合は
Puoi andare a prendere il vino?
andare aを付加しましょう。
「運んでくれる?」なのか「取ってくれる?」なのか「取りに行って(取ってきて)くれる?」、どの言い方が適切なのかがポイントですね。
これも同じく、「直接目的語代名詞」を使うとワンランク上の言い方になります。
Mi puoi portare il vino?
Puoi portarmi il vino?
Mi puoi prendere il vino?
Puoi prendermi il vino?
miは「私に」という情報が付加されるので、「私のために〇〇してくれる?」というお願いしていることと、「私の元へ」というニュアンスが強くなります。
例えば、Puoi portare il vino?だけだと、「どこに運ぶの?」という疑問が生まれますが、Mi puoi portare il vino?だと、「私の元へ運んでくれる?」になります。
④君はそのワインを持ったかい?
Hai preso il vino?
これこそ日本人が一番間違えやすいんじゃないかと思います。
①でも説明しましたが、取って(prendere)から持っていく(portare)なので、まだ運んではいません。
ここで
Hai portato il vino?
だと、「ワインを運びましたか?」となり、目的地まで運び終えたかどうかのニュアンスになります。
まとめ
prendereは「取る」「手に取る」「持つ」のという意味の『入手する行為』です。
prendereの近過去は『入手した状態』です。
portareは「運ぶ」「持っていく」「持ってくる」または「携帯する」「身に付ける」など『移動が伴う状態』です。
portareの近過去は『運び終えた状態』です。
雨が降りそうなので「傘を持っていく」の場合は、prendere/portareどちらも使えます。
なぜならprendo l’ombrelloだと「傘を手に取る」で、porto l’ombrelloだと「傘を持っていく/携帯する」という意味になるため、結果同じニュアンスになります。
コメント