日本の方がマシと思ったイタリアの医療制度

イタリアでは医療費が無料と聞いていたので、なんて素晴らしいんだろうと思っていたのですが、掘り返せば日本よりもひどい医療制度だと言うこと実感しました。

 

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イタリアの医療制度

イタリアの場合は、個人に登録のホームドクターが必ずおりその先は、公立の病院(総合病院のような)、私立の病院(各専門の病院のような)と分かれています。

もっと詳しく説明していきます。

 

個人にホームドクターがいる

イタリアの場合、一人一人にホームドクターがいます。

ホームドクターとは、かかりつけ医のことで、自分の家の近くで好きな町医者を選び登録します。

日本だと「職場の近くの眼科」「口コミの良い胃腸科」など好きな病院を選びますが、イタリアの場合は町医者を一人選び、体調がすぐれないときは基本そこで診察してもらいます。診察は無料です。

イタリアに移住した外国人も、居住権を得たら登録します。

 

ただ、このホームドクター、本当にお医者さん??というぐらい診察室の雰囲気も、お医者さんの身なりも、診察もすごく簡潔なことしかしません。聴診器すら当ててない…。

※私のホームドクターではこんな感じ。

 

診断書で有給休暇とは別に休暇をもらえる

会社員の場合、このホームドクターから(風邪などの体調不良でも)診断書をもらえれば一週間ほど仕事を休めるというシステム。

有給休暇の消化ではなく、恐らく日数の上限はありません。(旦那は3週間連続で休みましたが、給与や有給休暇に支障はありません)

ここまでは日本も見習えと思う素晴らしい体制だと思います。ここまでは…。

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公立の病院は無料

イタリアにはホームドクターとは別に「公立の病院」と「私立の病院」があります。

さきほど述べた「診察も簡単なことしかしない」のように、重病の場合や、しばらく経ってもよくならない原因不明の場合は、公立の病院へ送られます。

招待状を書いてくれ緊急の扱いになるため、公立の病院も診察は無料です。

(緊急ではない場合は有料。診察で20ユーロほど)

 

ただし、MRIなど検査を受けなければいけない場合などは予約が必要で、それは早くても一か月先…。「早くても」なので数か月待たなければいけないこともあります。

つまり進行性の早い癌や病気だと手遅れになる可能性もあります。

実際、それで亡くなった方もいるそうです。

 

‟今すぐ検査をしなきゃ死ぬというわけではないけど、「早期発見のためにも」「今後の予定(仕事)のためにも」早めに検査をしたい”という人は、私立の病院に行かざるをえません。

 

私立の病院は高額

イタリアでは、ホームドクターや公立の病院で医療費が無料なのは、高い税金を払っているため。

しかし結局、公立の病院で診てもらっても原因不明と言われたり、早く検査を受けたいという場合は、私立の病院に行かなくてはいけません。

高い税金を払っている意味は、完全になくなります。

 

私立の病院は公立の病院に比べて、待ち時間が短かったり、受付の人の愛想が良かったり、検査の予約が比較的早く(1か月以内)できます。

メリットはそれだけ。

あとは高額な請求が待っています。

旦那のときは、診察を受けに行っただけで80ユーロ(約1万円)とられました。(とくに検査はしていない)

その後、MRIの検査が必要となり、(公立の病院ですぐに予約できないため)私立の病院で予約すると280ユーロ(約3万5千円)かかりました。

※勤め先の会社が私立の病院適用の保険に入っている場合は、何割か負担で安く受けられますが、そういう会社は多くはないと思います。

 

救急車で運ばれれば即検査

では緊急の場合はどうなるのか?

例えば、今すぐにでも検査が必要な命の危機がある場合は、もちろんしてもらえます。

が、救急車に運ばれた場合や、救急病院で重症と判断された場合のみです。

逆を言えば救急車で運ばれない限り、公立の病院ではすぐに検査はしてもらえません。

※地域や病院、タイミングによっては即診てもらえることもあるそうです。

 

歯医者は贅沢治療

日本ではほとんどの治療が歯医者でも保険適用のため、虫歯や歯周病など気になればすぐに診てもらえる環境です。

しかしイタリアでは贅沢治療になるので、いくら高い税金を支払っていても高額な医療費を請求されます。

 

一時帰国の際に診察してもらう人も

海外在住の方は、日本に一時帰国して歯医者や病院巡りをする人が多いみたいです。

イタリア在住の方で虫歯治療のときは日本で治療した方が渡航費を含めても安く済むのだとか。

実は一時帰国でも国民健康保険に加入することは可能です。

これはちゃんとした決まりがないため、日本在住者じゃなくても加入することは可能なんですが、役所によっては断られる場合もあるそうです。

そりゃそうですよね。所得がなく税金を納めてないのに保険で安く済ませようとしてるんですから。(とは言え、加入期間が月をまたいでいる場合は、保険料を支払わなくてはいけません。)

ただし私の知る限りでは「海外在住の一時帰国者が加入してはいけないという法律はないため、原則的には可能」のはずです。

また、知り合いは「2週間以上滞在の場合は、日本国籍の人は国保に加入する権利がある」と役所から言われたそうです。

加入する役所や対応する役員によって変わるので、事前に問い合わせてみてください。

※ちなみに、加入する場合はパスポートの入国スタンプの提示が必要なので、必ず空港でスタンプを押してもらいましょう。

 

イタリアでも地域差がある

大まかな医療制度は上記のように全国ほぼ同じだと思いますが、細かいところは地域差が大きくあるようです。

例えば、処方薬に関して、同じ薬でも州によって無料や有料だったりと異なってきます。

またこの前私は花粉症を診てもらいにホームドクターのところへ行ったのですが

①ホームドクターに専門医への紹介状を書いてもらう

後日、その専門医を予約するために隣町の総合病院へ行く

③予約を取るために待つ

④一週間後の予約をとる

という、非常に手間で非効率なことをしました。私の知る日本の常識では、②と③は必要ないはずです。

(しかもそこの病院では診察のみで検査はまた別のところ…。何軒回らなきゃいけないんだ!)

電話・ネット予約ではなく、予約をするために隣町までいかなきゃいけないのです。

下手したら③の予約を取るために数時間待たなきゃいけないこともあるそうです。

ただし、これはアブルッツォ州の話で隣のラツィオ州などは近くの薬局で予約をとれるそう…。

 

さいごに雑談

昔イタリア人の友達に「日本は医療費がかかるんでしょ?じゃあお金の払えないホームレスはどうなっちゃうの?」と聞かれたことがあり、そういう考えを持てるイタリアの制度はなんて素敵なんだろうと思いました。

しかし掘り返せば、医療が無料という制度はだいぶ“限られた話”。

例えば、事故に遭った手術代や死にかけを助けられた医療費は無料です。

しかし「今すぐ死ぬわけではない場合」は公立の病院を待っていたら検査か死期、どちらが先に訪れるかわかりません。

死にたくなければ高い医療費を払え、ということです。(すでに高い税金は払っている)

だったら一律3割の日本の医療制度の方がよっぽどマシだと、私は思いました…。

 

ただし、地域や病院によっても利便性や対応は変わります。
緊急性が高いと判断された場合やタイミングによっては、すぐに診てもらえる場合もあります。
また、イタリアの医療制度のネガティブなところばかり綴りましたが、例えば癌の遺伝があったり、軽度の癌が見つかったりした場合、10年間毎年検査無料の権利を与えられたり、日本では高い遺伝性DNA検査が無料で受けられたりと、日本より優れている面もあります。
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