画像はうちの犬(チェコスロバキアン・ウルフドッグ)
イタリアでは時々、オオカミの目撃情報が出て人々を騒がせます。
あるイタリアの記事(ニュース)に、「ローマやその周辺の農家でオオカミやオオカミと犬の交配種による家畜被害が起きている」と書かれていました。(記事はこちら)
しかし、この記事には少しおかしいと思う点があり、過剰に書かれている、というのが私の旦那の意見です。
今回はその点も含めイタリアでの飼い犬の放棄についてもちょっとお話しようかなと思います。
※旦那の意見を主に書いています。旦那は自然や動物が好きで、動物について少し詳しいだけで、私も旦那も専門家ではありません。ひとつの考察・意見としてお読みください。
オオカミは臆病者
野生のオオカミはとても臆病者で、人間を見ればすぐに逃げてしまいます。
サルやイノシシは繁殖して増え、餌に困れば山から下りてきて畑を荒らしたり人に危害を加えますが、オオカミは人間が住んでいるようなところまでおりてくることはまずありえないです。
それに日本は野生のオオカミが絶滅したように、イタリアでもオオカミの数は決して多くありません。
(旦那曰く、イタリアも一時期絶滅の危機があったが今は免れたそうな)
山小屋でも、運が良ければ遠くから見られるチャンスがあるかな、という程度で、山小屋や民家にはまず近づきません。
上のリンクの記事ではオオカミが山から下りてきて家畜を殺したり、畑を荒らしいてるような印象を与える書き方で、これを読んだ人は「ローマにはオオカミが出る!」と思う人は多いと思います。
しかしローマ市内はもちろん、ローマ郊外でも野生のオオカミが人里までおりてくる…なんて考えにくいのです。
オオカミと犬の交配種
上では「野生のオオカミが人里に下りてくるのは考えにくい」と述べましたが、犬と交配したハイブリット種はどうなのか。
犬とオオカミは交配が可能です。
しかしそれは純粋なオオカミではありません。
うちの犬もチェコスロバキアン・ウルフドッグというオオカミとジャーマンシェパードのハイブリット種です。
しかし、この記事で言っているのは人間が意図的に作ったウルフドッグの犬種ではなく、自然にオオカミと犬が交配してできたハイブリット種のこと。
人間が捨てたペットの犬が野生と化し、オオカミと自然交配をし、純粋ではないオオカミが増えているのです。
飼い犬放棄問題
イタリアでは残念ながら、ペットの放棄が多いです。
イタリアを含め欧州ではペット可のホテル、レストランなどが増えてきて、飼いやすい環境にありますが、それでも放棄は絶えません。
日本も他国のこと言えませんが、イタリアで、走る車を必死で追いかける犬を見てしまった私には、どうしても他人事には思えません。
また、捨てられたのか定かではないですが、義母が飼っている犬は迷い犬でした。
義母が住んでいたのは山の方の小さな街なので、飼い主が本気で探せば見つけられるたのでは…。もちろん、不幸にも見つけられなかった可能性はありますが。
人間に捨てられた犬による家畜被害
人間が飼っていた犬が野生化し、犬とオオカミの子供ができ、それが人里に下りてきて家畜被害を与える…これが正しいのではないかという旦那の見解です。
もともと人間に飼われていたし、犬は愛玩具として改良されてるのでオオカミほど人に恐れはありません。
つまり、野生のオオカミが山から下りてきたのではなく、人間が飼っていた犬を捨てたため、ハイブリット種が増えて人里に現れたのです。
実際、繁殖力はオオカミより犬の方が強いです。
ペットの犬をオオカミと見間違う
たまに「オオカミが現れた!」なんて情報が山近くでもないところで出ますが、多くの場合はペットの犬の見間違いが多いです。
イタリアは大型犬を好む人が多く、ジャーマン・シェパードやオオカミ犬を飼う人も多いです。
そのため、逃げ出したか捨てられたオオカミ犬やシェパードなどの大型犬を、オオカミと見間違い騒がれます。
逃げ出してしまうケースもありますが(うちの犬も繁殖期に逃げ出してました…)、捨てられるケースがあるのも事実…。
とくにオオカミ犬は、飼い主をリーダーと認めないと飼育が大変なため、飼い主の器量や犬の性格によっては嫌になって放棄してしまうことが、悲しいですが少なからずあります。
人間がオオカミを恐れる理由
正直私も、オオカミは人を襲う危険な動物だと思っていました。
しかし何度も言うように、臆病な性格なので人間を襲うことはまずありません。(雑食なので人間を食べないとは言い切れませんが、通常は人間をみたらすぐ逃げます)
なぜ危険なイメージがついたのか?
それはオオカミは童話の中で悪者として扱われることが多いからだと思います。
「赤ずきん」「三匹のこぶた」「オオカミと七匹の子ヤギ」など、全てオオカミは悪役です。
「おおかみこどもの雨と雪」でも、何故オオカミはいつも悪者なのか、というシーンがありましたが、それと同じくやはりオオカミにはマイナスイメージが強いのです。
調べると、西洋の童話では悪者役ではオオカミ、日本の童話だと悪者役はキツネやタヌキが多いです。「赤ずきん」などの上の童話は全て西洋童話です。
西洋ではオオカミは家畜を襲う害獣として扱われていました。
ちなみに日本では害獣を駆除してくれる益獣の扱いで、長野県佐久市ではオオカミのお産の穴を見つけたらお供え物をしていたそうです。
ですが、西洋童話のせいか「オオカミは危険」というイメージがある日本人は多いと思います。
さいごに
この記事では人々に「野生のオオカミが下りてた、危険だ」という偏った印象を与えるような書き方だったのが気になり、この記事を書きました。
「純粋な野生のオオカミは人里まで下りてこない」「人間がペットの犬を捨てオオカミとの交配種が被害をもたらす可能性」「捨てられたペットの犬がオオカミと間違われる」など、こういう可能性を考慮せず、「オオカミが出た」「オオカミが家畜を襲った」などと騒ぎ立てるのはいかがでしょうか。
人間がペットを捨てるせいで、こういうことが起きていることも私たちは考えないといけません。
コメント
ご意見に賛成です。
狼は臆病ですし、飢えてなければ人に近付こうとしません。
家畜を襲うのは多くが野犬だと思います。
イタリアは狼が残ってるので、自然の状態で野犬とのハイブリッドが生まれてるんですね。
犬は狼の亜種で混血可能なので、学者の中には、もう純血の狼は残ってないんじゃないかと考えてる人もいるそうです。
それにしてもチェコスロバキアン・ウルフドッグ、大きくなりましたね(^O^)
Inazuma Ramoneさん
コメントありがとうございます。
よくある話ではないと思いたいですが、捨てられたペットの犬とオオカミのハイブリッドは無きにしも非ずだと思います。
もう純血のオオカミはいないかもしれないんですね。繁殖力も低いし、数十年、数百年後には世界的に絶滅危惧種になりそうですね。
はい、もう二歳なのでこれ以上大きくはならないと思いますが、でかいです笑